FC版 III ダイヤモンドの騎士
02/11/02 アップ
●ストーリー
ニルダの杖。それはリルガミンの街を守護する魔法の杖。
その杖の力は、街に危害を及ぼすものを寄せ付けぬというものである。その力は強大であり、リルガミンは外敵からの脅威に無縁であった。しかし、杖にはひとつの欠点があった。リルガミンで生まれたものに対しては、その力を発揮できなかったのである。
それゆえ、この地に生まれたダバルプスは、闇の力を使い王家を滅ぼすことに成功する。杖の力に阻害されることなく……。
だが、王家の若き姉弟、マルグダ王女とアラビク王子は辛うじて襲撃を逃れる。姉弟はダバルプスを倒すべく、力を合わせて伝説の”ダイヤモンドの騎士”の武具を取り戻した。ダイヤモンドの武具に身を固め、アラビクはダバルプスに戦いを挑む。
結果はアラビクの勝利に終わった。しかし、ダバルプスは死の間際に力を放つ。その力により、城は崩れ、地には大穴が口を開き、アラビク、ダバルプス、そしてニルダの杖は穴の底へと姿を消した。
リルガミンを護る絶対の力であり、唯一無二の存在であったニルダの杖。それが失われた今、この街は裸体を曝け出したも同然である。杖が戻らなければ、リルガミンが廃墟となる日もそう遠くはあるまい。
●雑感とか
俺が初めて触れたウィザードリィがこれ。FC版の三作目にあたる本作だが、シナリオの順序としては二つ目にあたる。
出会いは奇妙なものであった。当時中学生になったばかりであった俺は、同じクラスの新しくできた友人と話をするうち、その友人がウィザードリィを売ろうとしていることを知る。しかも当時の新作である、FC版 IIIを。
丁度ウィズに対し興味が湧き、やってはみたいが定価で買えるほど裕福だったわけでもなく、どうしたものよと迷っていたときのことである。早速打診に入った。
俺「なあ、いくらで売ってくれる?」
友人「1000円でいいよ」
俺「買う」
互いになんとも大雑把な金銭感覚ではあるが、何しろ当時は中学生である。1000円が基準となるのもやむを得まい。
そんなこんなで入手したウィズにものの見事にハマることとなる。初めて触れた3DRPGというのもあっただろうが、それだけではないハマり方をした。無粋極まりない画面によって刺激される想像力、それによって増幅される緊張。リセット技に頼りながらもビクビクと迷宮を進み、自力でのマッピングによって埋まり行く方眼紙、結果生まれる「迷宮を踏破している」という感覚。
それら全てが楽しくてしょうがなかった。
だが同時に、それまで遊んできた普通のRPGからしてみれば異様としか思えない点に驚愕したりもした。それは戦士であろうと敵の攻撃一発で死にかねないほどの初期HPの低さ(4とか5とか)だったり、また回復魔法であるディオスの性能の低さだったり。特にディオス、この魔法は「体力を1〜8回復する」という効果なのだが、運が悪いと1しか回復しないという点に納得できなかったものである。
それまでに遊んでいたRPGである、ドラクエやらFFやらにしても、確かに回復魔法はその回復量にある程度のランダムがあったが、しかし最低でもそれなりの回復は約束されていたものである。ドラクエにおける回復魔法であるホイミにしたって、公式には「HPを30前後回復」という効果であり、間違っても10しか回復しないなんてことはない(最大HPと現在HPの差が10以下の場合を除く)。
だと言うのに、このゲームは堂々と「1しか回復しないときもある」とのたまっているのである。
プレイを重ねるにつれ慣れはしたが、当時は「こんなヘボい魔法の存在が許されるとはどういう世界だ」とか思っていたものだ。
リセット技に頼っていたが故に、戦闘についてはあまり記憶に残ってない。ただ、このゲームではイベント戦闘として、一階ごとにダイヤモンドの騎士の装備との戦闘があり、それに勝つとその武具を入手できる。そして戦闘は鎧→盾→剣→兜→篭手、の順で行われるのだが、盾の強さが狂っていたことはやたら印象深い。やってみればわかるが、地下2階に辿り着いた程度のレベルのパーティではごく普通に全滅する。何しろ、前衛の戦士ですら一撃で吹っ飛ばされかねないほどの攻撃力を持っており、防御魔法や回復が全然おっつかず、1ターン1殺×6で全滅である。俺は地下4階くらいまで潜れるレベルになってから戦いを挑んだが、それでも死人を出さずに勝つことはできなかった。
ちなみに盾がそんなに強い割には、剣・兜・篭手は大したことがない。出す順序を間違えたんじゃねえのかと思わされるような展開であった。
なお、後々に知ったことだが、このFC版ウィズ III はパソコン版から色々な調整を受けている。詳細は割愛するが、一部の敵や魔法の追加、また迷宮の構造の変化などがそれに該当する。そしてそれにより、決して評価良くはなかった「パソコン版ダイヤモンドの騎士」は、「FC版ダイヤモンドの騎士」として生まれ変わり、高く評価されることになる。
俺がこの作品ではじめてウィズに触れたのは、非常に恵まれた出会いだったと言えるのかも知れない。