GB版 外伝 I 女王の受難
02/11/02 アップ
●ストーリー
何代ぶりのことであろうか、いやもしかしたら初めてのことかも知れぬ。リルガミンの地に女王が誕生した。名はアイラス。しかしそれは運命には決して歓迎されたものではなかったらしい。
それは即位当日。街は南西より湧き出た黒い雲に覆われ、三日三晩嵐が吹き荒れた。そして嵐が去ると同時に、女王の双子の姉であるソークスが姿を消した。アイラスは大規模な捜索を命じたが、ソークス本人ばかりか失踪の手掛かりさえも見つけることはできなかった。続けてニルダの杖の輝きが衰え始め、更にはとどめとばかりに王宮付きの魔法使いであるタイロッサムが、旧王宮地下にある”ダバルプスの呪いの穴”に身を潜め、魔物を呼び出し始めたのだ。
それまで気丈にも不運に耐えてきたアイラスだったが、流石に国の重臣であり己の師でもあるタイロッサムの背信行為には打ちのめされた。「タイロッサム討つべし」王宮の兵士達は迷宮へと向かうが、長い平和に慣れきった彼等には、迷宮の魔物はあまりに強大過ぎた。
それから一年。相次ぐ凶事に高まる人々の不安、募る焦燥。そして、未だ目的の掴めぬタイロッサムと行方の知れぬソークス……。不穏な空気漂うなか、触書が王宮の門に掲げられる。
それはタイロッサム討伐の命と、それに対する褒賞が記されたものだった。
●雑感とか
91年に発売された、初の国産ウィザードリィ。基本的なシステムは#5を踏襲しているが、細かいところでアレンジが加えられている。具体的には#5では少々煩雑だった武器の射程が、S(ショート)とL(ロング)の二種類のみになっていたり、また多少だがグラフィックが追加されていたり(各施設でそのグラフィックが表示される)、他には携帯ゲーム機であることを考慮してオートマッピングが搭載されている、などである。
当時中学生だった俺はこれを人から借りて遊んだのだが、実を言うとその時の記憶がほとんどない。恐らく、かなり雑に遊んだが故に全く記憶に残らなかったのであろう。
真にこのゲームにハマったのはつい最近、02年になってから。悪友・白楽から借りて遊び、何かに憑かれたかの如くハマった。それは数年振りに遊んだウィズであるが故なのだろうか、それともリセット禁止を己に課して遊んだが故か。
地下2階ではスケルトンコボルドの大群に襲われる度に死を隣に感じながら戦っていたが、魔法使いがマハリトを覚えたら一撃で奴等を蹴散らすその強さに感動し、地下4階ではソーサリスにマダルトを唱えられると全滅の危険があったが為に、戦闘開始から全力で潰すことを意識。そして道中で何度も何度も死人を出しながらも、ついに到達した地下5階。ギルモゥア・ワークロウ相手に経験値を稼ぎながら探索を続けていたとき、ウィザード・ソーサリスを含む一団に不意打ちを受ける。幸い死人は出なかったが、危険を感じ撤退を命じる……逃走失敗。幾度と無く唱えられるマダルト、削られるHP、倒れゆくパーティメンバー。絶望感、喪失感。
そして二度目の逃走に失敗したとき、かつてFC版 III をプレイし始めの頃に一度だけ見た、全滅画面を拝むこととなる。愕然としながらも、慌てて別に育てていたキャラで救出に向かわせることに。少々レベルは足りないが、加えて人数もやや少ない(救出メンバーであることを差し引いても)が、何大丈夫だ、エレベーターを使って死体を回収するだけだ……。
だが甘かった。キーアイテムが無い。エレベーターを利用するのに必要なアイテムが無かったのだ。新しくキャラを作り、必死の思いでレベルを上げ、1stパーティが踏破したルートをなぞり、ガーディアン共を全力で蹴散らしアイテムを入手しエレベーターに向かい地下5階へ。強敵の影に脅えながら全滅箇所にて死体回収→脱兎の如くエレベーターで地下1階へ。
幸運にも、蘇生に失敗することは無かった。
それからはより一層気を使ったプレイをするようになった。魔法使いは瞬殺。クリティカル・レベルドレイン・ブレス・石化・後衛攻撃といった難儀な特殊能力を持つ敵は集中攻撃。それでも時には全滅しそうになりながら、そんな時は別キャラに迎えに来てもらったりしながら戦いを続けるうち、タイロッサムを倒し、異次元に突入し、グレーターデーモンとライカーガスの強さに恐れながらもムラマサを拾い、そしてクリアとなった。
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ウィザードリィは非常にシビアなゲームである。そのシビアさのひとつに、「どんな強いキャラでも死ぬときゃ死ぬ」というものがある。それは確かにシビアだが、同時に強烈な魅力でもあるということを、強く理解できたのであった。