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近年のゲームは、全面クリアするとエンディングが流れ、そのままゲームオーバーになるタイプのものがほとんどだ。しかし、一昔前のゲームは2周目、3周目…、と無限ループするものが多く、プレイヤーの腕次第では、1コインで何時間も遊ぶことができた。格闘ゲームから入ってきた最近のプレイヤーには、ちょっと想像もつかない世界なのではないだろうか。
今回のオールドゲームミュージアムでは、このようなループゲームと、それにまつわる「様々な凄まじさ」にスポットを当てていくことにしよう。
■一千万点時代の幕開け
今回のキーワードである1000万という数字が、ゲームの世界で特別な意味を持つようになったのは、やはり『ゼビウス(83年/ナムコ)』からであろう。
あらゆる面で後に大きな影響を及ぼしたこのゲームは、ハイスコアの世界においても1000万点=カウンターストップ=偉い、という概念を生み出すこととなった。『ゼビウス』以降、プレイヤーの中には、ループゲームを究めること=1000万点を出すこと、という目標が生まれたのだ。
そしてプレイヤーと同時に、開発側も1000万点という数字を意識するようになったのであろう。これ以降のループゲームは「1000万点ゲーム」として遊ぶのに手ごろな難度、点効率、エクステンドのシステムを持つものが多くなっていった。
『エグゼドエグゼス(85年/カプコン)』にいたっては、1000万点達成と同時にプレイヤーを祝福するメッセージが流れ、ゲームオーバーになるという演出が取り入れられていた。これはかなり珍しい例といえるのだが、ループゲームの醍醐味を堪能しつつ、後味良くゲームを終われるという点で、非常に良くできたシステムだったと言えるだろう。
■長時間プレイの代償
さて、ループゲームを語るうえで切り離せないのが、プレイ時間の話。この手のループゲームで1000万点を出すためには、現在では考えられないほど長いプレイ時間が必要な場合が多く、その長時間プレイに耐えるのが、ループゲームでハイスコアを狙うときの醍醐味でもあった。1000万点達成に6〜7時間かかる、なんていうのはごく普通で、時間あたりの点効率が悪いタイトルだと、10時間以上(!)かかってしまうゲームもあったのだ。
そして、さすがに1コインでこれだけの長時間プレイをすることになると、ゲームの内容と関係ないところで、様々な障害が起こってくることも少なくなかった。
まずありがちなのが、プレイヤー自身の生理的現象によりプレイ続行が困難になるケース。ケツが痛い、腹が減った、なんていうのはまだなんとか我慢できるが、尿意&便意は、笑い事ではなく本気でピンチなのである。ゲームによってはエンディングデモ中など、プレイ中にトイレに行くスキがある場合もあるが、用をたして急いで戻ったら、知らない人が台に座っていて…なんてことも、少なからずあったようだ。
また、鼻息荒くゲーセンに行ったはいいが、他のプレイヤーが奮闘中! 待ち時間が数時間…、というのもありがちだ。ループゲームの場合、自分のプレイ時間も長いかわりに、うまい人に先に座られてしまった場合の待ち時間も、半端ではなかったのである。
最悪なのが、店側からの中止勧告。100円で何時間も遊ばれちゃ商売になんねぇ、ってことで、「お客さん、そろそろ…」とか「おまえ、もう出入り禁止」なんてことが、当時は割とザラにあった。そこまで極端でなくとも、長時間プレイができるゲーム&マニアを嫌うオペレーターは少なくなかったのだ。寂しいことだが、この辺の事情が、現在ループゲームがほとんど出ないことに結び付いていると言えるのではないだろうか…。
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物価が上がり続けるこの世の中で、アーケードゲームのプレイ料金は20年前と変わっていない。これは驚くべきことだし、感謝すべきことでもある。そんな状況のなか、昔のように何時間も遊べるループゲームを求めることは時代錯誤な我がままなのかもしれない。
こういったことを考えると、昨年コナミから発売された『グラディウス IV』は非常にプレイヤー心理を大事にしてくれていたゲームだったと思う。このタイトルが、アーケードゲーム史上最後のループゲームにならないことを祈りたい。
●コラム(左ページ上段)
これだけは知っておきたい
オススメループゲーム7選
ループゲーム、1000万点ゲームというとシューティングゲームのイメージが強いが、探せば意外と他のジャンルにも存在する。アクションゲームではドラゴンバスター、バブルボブル、カルテットといったところがメジャーどころ。カルテットは点効率が高いゲームで、1億点+αで集計されていた。ギャラクシーフォース(I)、ホットロッドは大型筐体ものとしては非常に珍しいループ制。テトリス、コラムス〜といった落ちもの系も、カンストゲー多し。
(写真キャプション。全7枚)
1: 沙羅曼蛇(86年/コナミ)
1000万点達成までの所要時間は比較的短い(3時間半前後)が、エクステンドが一回もなく、1機死んだらそのまま終わりの場所が多いため、非常に厳しいゲームである。高次周の敵弾の密度は必見で、迫り来る弾幕は美しささえ感じさせる。
2: ゼロウイング(89年/東亜プラン)
珍しい東亜製横シュー。周回を重ねるにつれ、筆舌に尽くしがたいほどランクが上昇し、最後には敵弾がワープしているように見えるほどの弾速になる。シューティング史上最も難しいゲームとも言え、正攻法での1000万点は不可能。
3: 究極タイガー(87年/東亜プラン)
東亜プラン初期の傑作縦シュー。1000万点は5周程度で達成できるが、難度は16周目まで上昇するため、一部のマニアはさらに攻略を進めた。高次周はかなりの弾速になるようだが、それでもエンドレスプレイが可能だというから恐ろしい。
4: ギャプラス(84年/ナムコ)
集計はもちろん1000万点で打ち切られていたが、当時の超有名サークル「ACU」のプレイヤーによる1億点達成がマニアの間で話題に。複数の人間で交代で睡眠・休憩をとりながら、丸3日(!)がかりの超長時間プレイだったそうだ。
5: ゼビウス(82年/ナムコ)
普通にプレイすると1000万点達成の所要時間は7時間前後。一部のマニアは、これをどこまで短縮できるか、というタイムアタック的な遊び方をしていた。点効率の高いエリアで、ため込んだ残機を潰して稼ぐ、という内容だったようだ。
6: エグゼドエグゼス(85年/カプコン)
本文中にもあるように、1000万点達成でゲームオーバーという非常に珍しいシステムのゲーム。2人同時プレイで1000万点を狙うのも面白いが、その場合、どちらか一人が1000万点を達成した時点でゲームオーバーになってしまう。
7: スラップファイト(86年/タイトー)
一定の条件で出現する味方機を2P側のコンパネで操作する、という変わった隠しフィーチャーがある。上手い人にこの味方機を操作してもらえば、大幅に点効率が上がる稼ぎ場所があり、1000万点までの所要時間もかなり短縮可能だ。
●コラム(左ページ中段)
トイレの行き方攻略・グラIIの場合
写真(1):最終面要塞内部ラスト。背景が生物っぽくなるあたり
写真(2):ゲートが閉じるところ
写真(3):スクロール停止、ゴーファー様登場のとこ
『グラII』は比較的トイレ難度が低いゲームだが、油断は禁物だ。連続写真をもとに説明していこう。写真(1)ボス直前。トイレに行くか否かはこのあたりで決定しておく。写真(2)スクロール停止時にゴーファーにぶつからない位置に自機をセットして…。写真(3)ダッシュでトイレへ。ゴーファー自爆〜エンディング終了までに戻ってくるようにすること。
●欄外(右ページ)
昔はループゲームが当たり前だったんだけど、じゃあ、オールクリアでゲームオーバーになる形式の一番最初のゲームは何? という疑問が発生。超〜うろ覚えの遠い記憶では、ギャラクシーウォーズって、31面クリアで「ギブアップ」とかメッセージが出て終わりだったような気が……もし知っている方は、当コーナーまで御一報を。(シャローマンRED)
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ゼロウイングの補足:ゼロウイングは市販の基板でもノーデス設定(ディップスイッチで設定できる)ができるので、一晩つけっぱなしにしておけば高次周の発狂ランクを誰でも見ることができる。興味のある人は、是非その発狂ランクを実際に見て欲しい。(「右のスリムセンコー&左のsawamuraバレット」のRED)